息子が風邪を引いた。
昨日雪が降るほど寒い中、長時間外に出ていたのが原因なのだが、理由を聞いても「うるさい」としか答えない。
息子は理由を言わないが、大方察しはつく。
息子が友人とよくやってる勝負とやらに関係があるのだろう。
私達家族は年内に海外に引っ越す。
もう時間がない彼らは最後の勝負と称して、それを寒い屋外でやった。
そんなところだ。
高校生になって少しは大人っぽくなってきたと思ったが、まだまだ子供のようだ。
昔ならいざ知らず、今の時代に今生の別れはあるまいに。
いや、あの年頃は今生きている瞬間が全てなんだろう。
いやあ、若いっていいねぇ。
と、おかゆが出来たので、息子の部屋に持って行く。
ノックすると返事があったので部屋に入る。
眠たそうな息子におかゆを渡すと「ありがとう」と言われる。
ありがとう。
何年ぶりかに聞いた言葉だ。
思春期で、何かにつけてうるさいとしか言わない息子がありがとうを言うとは!
体調でも悪いのか?
と疑問に思ったが、そういえば今風邪をひいているのだった。
極力表情を変えないようにして、息子の顔を覗き込む。
いつも眉間にシワを寄せてカリカリしている息子も、今ばかりは穏やかな表情をしている。
風邪をひいたことで、怒る気力がないのだ。
そうやって穏やかな顔をすれば、可愛いのになあ。
というのは親のヒイキだろうか?
食べ終わって、皿を「ん」と言って渡してくる。
至福の時間は終わりらしい。
皿を受け取って、部屋を出る。
熱も下がってきたから、一眠りすれば元気になるだろう。
風邪が治ったら、あの可愛い顔を見られなくなってしまうだろう。
残念なことだ。
息子よ。
もう一度その可愛い顔を見たいから、また風邪をひいておくれ。
なんてね。
12/17/2023, 9:21:46 AM