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「なっちゃ〜ん!遊びに行こう!」
 私が宿題とにらめっこしていたら、友達のりむが遊びに来た。最近ここら辺に引っ越してきたばっかり、あんまり人と話すのは得意じゃない方だけど、なぜかりむとはすぐに仲良くなれた。
「えー、今から?」
「うん!」
「でもどこ行くの?こんな田舎じゃ遊びに行くとこなんて
 ないでしょ」
「む!?田舎とは聞き捨てならないな!」
「でも田舎じゃん」
「うーん、まあそうなんだけどさぁ、じゃなくて!隣町
 に新しくカフェができたんだって。行ってみようよ」
「へー カフェか…でもバスある?」
「うーん、わかんない まあなくても歩きっていう手
 もあるけどね。」
「えーやだよ。歩きとか、疲れるじゃん」
「もう!なっちゃんは運動しなさすぎ!」
「いいの、別に死ぬわけじゃあるまいし笑」
「お主、運動をなめておるな」
「なめてない。なめてない。 とりあえずバス停まで
 行ってみようよカフェは私も興味あるし」
「お!行こ行こ」
 いつもと同じようにくだらない会話をして私達は家を出た。隣町までは歩いて30分ぐらい。決していけないような時間じゃないけどめんどくさがり屋の私には歩き何て正直考えられない。りむは歩いて行くのも楽しそうだけど。
 少し歩いてバス停に着く。
「えぇと今は4時45分だから…あ!」
「どうだった?」
「ついさっき行ったとこみたい 4時半だって」
「あらら…じゃあ今日は諦めるしかないね」
「えー、久しぶりの両方部活休みの日なのに。あっ!」
 …なんだか嫌な予感がする。まさか歩いていこうとk…
「歩いて行こうよ!」
「やっぱり…」
「まあまあ久しぶりの運動だと思って」
「はぁ〜…」
 断ったところでどうせ無理やり連れて行かれるのだから
どうせなら自分から行くことにした。全く何で休日からこんな歩かなきゃいけないのかなぁ…
「ほら、なっちゃん、早く!」
「はいはい…」
 しぶしぶりむの後ろに着いて歩く。何気ない雑談をしながら、疲れたなーとか、そんなことを思っていたとき、遠くの方からサァァァと音が聞こえた。
「ん…?何の音」
「音……?うわっ冷たっ え雨?!」
「通り雨かな? とにかく雨宿りできる場所」
「え、雨宿り 公園!」
 運良く公園の近くを通りかかっていた私たちは慌てて公園に駆け込んで、ドーム状の滑り台?のような遊具の中に入り込んだ。
「はぁ…びっくりしたー なんで雨?
  さっきまで晴れてたのに!」
「多分通り雨じゃないかな」
「あー、通り雨、聞いたことある」
「そっ か、
 はい、これタオル濡れちゃったでしょ?拭いて」
「ありがと!」
 それから少し沈黙が流れた。遊具にたたきつけられた雨の音が響いてくる。なぜかだけど、とても懐かしい気持ちになった。昔もこんなことあったような気がする。
「……ちゃん、なっちゃん!」
「わっ あ、もう拭いた?」
「うん、ありがとう どうしたの?ぼーっとして」
「ん………いや、なんでもないよ」
「えー!絶対嘘じゃん 教えてよ〜」
「……!     やだよ、バーカ」
「え、なっちゃんがバカって言った!どうしたのバカなん
 か普段言わないじゃん」
「いや、ちょっと懐かしかったなーって 似てるね」
「えーどういうこと!?」
「秘密、教えなーい ほら、雨止んだよ早く行こう」
「…?うん!!」

♯通り雨
 

9/27/2022, 12:45:05 PM