「ずっとだよ、ずっと、恋のままにしておいてね」
蠱惑的な笑みを浮かべて、あの子は私にそう言った。
そう言われた時は、応とも、否とも、答えられなかった。
「知っているだろう?人は焦がれている間が、いちばん相手を想っていられるの」
私の手にそっとしなやかな手を重ねて、そのまますぐにするりと離れた。
「僕はね、君には想われていたいの」
一息おいて、今までにないくらい、とびきり甘く、寂しそうな声であの子は言った。
「君の事がさ、大好きなんだ。だからどうか、どうかこのままでいて」
私もよ。私も、君が大好きよ。
嗚呼、だからそうだね、そうしよう。
ずっとこのまま、恋を続けよう。
1/12/2024, 1:31:53 PM