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鮮やかなレッドカーペットにところどころに穴が空き、煤けた茶色に変わり果ててしまった。昼間に上がる太陽は仕事をサボって雲に隠れてばかりいる。

「さみぃ······」
「寒いのは分かるけど、ダウンジャケットにマフラーは早すぎない?」
「うるせーよ」

今、十二月なんだからいいだろ。
地球温暖化のせいで暖冬だと騒いでいるにも関わらず、この時期になると俺の期待を裏切っていつも凍え死にそうなほどに冷たい風に襲われる。これでまだ気温二桁なのは嘘だろ、と言いたい。

「今でそれなら来週どうなるの?」
「知らん」

来週からこれ以上寒くなるかと思うだけで辟易する。ダウンジャケットの下はガタガタと震え、ポケットに突っ込んだ両手は少しも暖かくなりはしない。

「両手をポケッに入れてたら受け身取れないよ」
「うるせー」

こちとら万年冷え性なんだ。子ども体温のオメーに何が分かる。

「えいっ!」
「んあっ?!」

彼女の両手が俺の頬を包み込む。

「暖かいでしょ?」

ニコニコする彼女に無性に腹が立つ。俺は片方の手を奪って、俺のポケットに突っ込んだ。

「ぎゃーっ!冷たすぎでしょ?!」
「耳元で騒ぐな。うるさい」
「ねぇ、ちょっと!」
「ちょうどカイロが欲しかったんだ」
「私はカイロじゃない!」
「へーへー」

盗み見した彼女の顔は赤い。
本気で嫌ならもう少し暴れるから満更でもないのだろう。ということにしておく。





12/3/2025, 11:10:23 AM