名無しの椛

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《またいつの日か》
 
 私と私の幼馴染は小中高と同じ学校。私達は陸上部に所属していた。
 
 運動神経が良く、いつもニコニコしていて、私と違って初めてのスポーツでもなんでも出来るタイプのいわゆる体育会系女子の幼馴染。
 
 もともとスポーツがあまり得意ではなかった凡人の私。

 同い年なのに、何故か天地の差と言っていいほど、あの子は偉大な存在に感じた。

 あれは確か中学2年生の頃、友人が全国大会を前にして足を怪我してしまった。パックリ膝が割れて骨が見えそうだった。病院へ行くも既に遅く、神経が切れていて大会どころか今後歩けるかどうかも危ういとのこと。

 それから幼馴染は車椅子生活。歩けなくなった現実を受け入れられなかったようで前のような明るい彼女はもう見られなくなった。無理もない、だって、走ることが生き甲斐と言っていいほど陸上を愛していたのだから。

 高校生の夏、私は「全国大会準優勝」という賞状を手に表彰台の上に立ってメダルを掲げていた。

 テレビの生中継を病室で見ていた友人は満面の笑みを浮かべたそう。

 お題: 太陽の下で

11/25/2024, 1:26:49 PM