真っさらな部屋。
空間、と表現した方が正しいかもしれない。
上下左右、見渡す限りの白。
まるで霧の中のようなその場所で、漠然と、夢なのだろう、と他人事のように思った。
もし、これがそうであるならば叶うかもしれない。
意識の揺らめいた昼下がりのように重い思考の中に、すうっと何かが形を成す感覚。
夢ならば、記憶の水底に沈んだあの人を感じられるかもしれない。
夢であるならば、あの人に会いたい。
もう顔もおぼろげなあの人に。
もう声も思い出せないあの人に。
もう、どこにもいない、あの人の影に。
《夢が醒める前に》
3/21/2026, 9:52:31 AM