「モンシロチョウ」
「ニンゲンしゃん」「どした?」「きょうははれなんだって!おしゃんぽびよりなんだって!」「行く、お散歩?」「んー!」
朝7時なんだけど。散歩っていわれてもな……。
あ、そういえば。「ネモフィラの花畑に行ってみる?今日は平日だから空いてるだろうし。」「ねもひら?」「ネモフィラ。青くて綺麗な花なんだ。」「ん!いく!」
ちょっと遠出だけど、たまにはいいか。
通勤ラッシュとは逆行して、空いてる電車に乗る。人がいない電車は快適だ。落ち日も楽しそうだからよかった。
しばらく歩く。仕方ないけど体力づくりと思って歩く。おちびは疲れないのか?「大丈夫?結構な距離だけど、疲れない?」「んー!でもねー、だっこちてほちーの!」仕方ないな……。重くないからいいか。
……やっと着いた。「わー!おはないぱーい!」「そうそう、お花、綺麗だよな。」「んー!」ネモフィラの花畑。海と空とネモフィラの青が全部つながって、まるで自分たちが空を飛んでるみたいだ。
「ねね、ニンゲンしゃん!」「どした?」「ひらひらがとんでるのー!」「あぁ、これはモンシロチョウだよ。」「もんちろちょ?」「そう、モンシロチョウ。昔はもっと街中でも見かけたんだけど、最近はあんまり見かけないような気がする。」「えー?きれーなのに?」
「そうだね。綺麗だけど、ニンゲンたちがいろんな自然にとって暮らしにくい社会を作り上げてしまったから、仕方ないんだ。「んー。」「でも、おもちゃや美味しいお菓子が食べられないのも困るだろ?」「ん。」
「上手く共存できたらいいんだろうけど、今はすごく難しいことなんだ。何かを守るには、何かを犠牲にする必要がある。何を守って、何をあきらめるか。そういうのが大事なんだよ。」「ボク、わかんないのー!」「わからなくてもいいよ、いつかきっとわかる日が来るから。」
……って、こども相手になにを話してるんだ自分は。
「お花もモンシロチョウも綺麗だよな。今日はしばらくここで過ごすか。」「んー!」しばらくの間、自分たちは花畑でゆったり過ごした。
……にしても、青い食べ物の多さに衝撃を覚えた。ソフトクリームにビスケット、カレーまで青い。そしてちょっと値が張る。味は美味しいけど、青い食べ物って不思議だよな。白い蝶はいなくなっていくのに、変な色の食べ物は増えていく。
世界の彩りがだんだん置き換わっていく。
自称マッドサイエンティストはどう思うんだろうか。「何も手を入れない方が美しいに決まっているだろう?!!」とか言うのかな?それとも「ニンゲンたちは不思議な色のものをつくるのがすきなんだねえ!!!」とかかな?まあいいや。
モンシロチョウと飛行機を見上げながら、自分たちは青の世界に包まれていた。白い彼らは青い世界の差し色みたいだ。なんて思いながら。自分たちは青を見つめていた。
5/10/2026, 3:55:04 PM