私には 、 やりたいことがある 。
死ぬまでに1度だけでも 綺麗な桜並木を見たい 。 今まで見たことの無い景色 。
どんなに綺麗なのかと 、 今までどれだけ
想像に胸を踊らせただろうか 。
勿論メディアでは何度も見た 。
それこそ 、 見飽きると思うほど 。
でも私は全く見飽きなかった 。
むしろ見れば見るほど 、 見たいという
欲は膨れ上がっていくようだった 。
早く 、 綺麗な景色を見られるといいな 。
「 本当に …… 春が大好きな子だったんです 。 」
静かな空間に小さく反響する声 。
すすり泣く声 。
その人物の目の前には 、 白い長方形の箱 。
箱に取り付けてある子窓を開く 。
「 頑張ったね 、 さくら …… 頑張ったね …… 」
少女の母親は 、 周りを薄い桃色の花に囲まれた
小さな女の子に顔を近付ける 。
そしてただ 、 頑張ったねと少女に呼びかけた 。
そんな彼女達の近くには 、 綺麗に咲きほこる
桜の枝が何本も飾られていた 。
お母さん 。 私 、 綺麗な景色は見れなかったけど
これで充分だよ 。 ありがとう 。
- やりたい事
6/10/2023, 4:32:03 PM