夢へ! 〇〇!
と書かれた横断幕が歩道橋の所に飾られてあった。
〇〇の部分は忘れてしまった。
「夢へ! 向かえ!」なのか
「夢へ! 進め!」なのか。
まあ、忘れても意味合いは変わらないだろう。
子供の頃に将来の夢なるものを書かされた記憶があるが、アレは何の意味があったのか、いまだによく分かっていない。人生、そう簡単に作られてないんだよ。という手始めに挫折のきっかけを作らされたような気がするなぁ、などと、歩道橋を渡った。
階段を上り、橋の方へと向かった。横断幕の下には大きな道路……片側二車線のバイパスが広がっている。アスファルトの上を高速で走行している音が、大きくなったり小さくなったり。車が近づき、または遠くなる。エンジン音の違い。車種、車のカラー。大型車中型車小型車バイクトラック……。
様々なものが、当たり前の景色として眼下で繰り広げられている。
高さ、というのは、下を見るのが怖くなる。
いつもは下にいるのに、あちら側に渡りたいと思って歩道橋を通して渡る。なぜこんな迂回路をしているのかと言うと、自分が歩行者だから。バイパスなので、信号と信号の間が長いので、階段で上がる労力を考えても歩道橋のほうが便利だから、というコストバランス。
歩道橋を下りて、横断幕の隅っこらへんに書かれている文字をみようと目を凝らしたが、如何せん見えん。どうせ近隣の学校が書いてあるんだと思われる。スローガンは生徒に募集したんかな。そうやって将来の夢を書いてもらうように生徒に書かせて、黒板の上とか教室の背景に掲げて、プレッシャーを与える。
車社会が一番注意を払っているのは何か。
歩行者だ。それも、通学路の隅っこにて歩く歩行者。学生や子供。新入生。卒業生。大学生。義務教育。幼稚園。それら一般的朝夕の光景……。
様々なものが、夢を通して当たり前をすり込んでいるように見える幕、霞む文字列。
(あとで)
4/11/2025, 9:33:11 AM