【麦わら帽子】
私は彼をとても信頼しているし、とても頼っているし、誰よりも私を知っているとわかっているし、
愛も情もあるし、近い人生を隣で歩く仲間意識もある
会話もするし、会話しない時もある
じょうずに私を甘やかし、機嫌をとり、
そのことでもしかして消耗していたとしても
見放したりせずに近くで笑っていてくれる
もし男性として生まれるならこのひとみたいになりたかったと思うひとのうちのひとりだ
それでも、「わたし」に戻る時間は必要で
その時間はひとりで、ささやかな嬉しさやおもしろさを存分にたのしむ
その時間しか埋められない穴が確実にある
なぜなら、私と彼は別の経験を経て出会ったのだから
そういうものなのだ
麦わら帽子がすきだった
彼が、きみには似合わないと笑った麦わら帽子
8/12/2024, 8:44:28 AM