とある恋人たちの日常。

Open App

 
 今日は友達から私の好きな色のバスボムを貰ったので、お風呂に少し熱めのお湯を溜めていた。
 しっかりお湯が溜まってからバスボムをお湯に投げるとぷくぷくと泡を吹きながら透明なお湯が爽やかな香りと共に色を変える。
 
 ひとつ、ため息が出た。
 
 今日のお昼に見たことを思い出して胸が痛くなっていた。
 
 気になる彼が異性と二人で楽しそうにしていた。
 
 見たことがないくしゃっとした笑顔が忘れられないの。
 私と一緒にいる時と違って、もっと砕けていて、ふざけていて、楽しそうで……。
 
 私、彼の友達と一緒にいるのは見たことがあったけれど、あんな笑顔、見たこと無かったよ。
 
 ズキズキズキズキ。
 
 消えかける泡を見て、羨ましいと思ってしまった。
 私の気持ちもこんなふうに簡単に消えればいい。
 
 自分自身でどうにもできない気持ちなんてオカシイよ。
 
 お湯に雫が落ちて波紋を広げる。
 消えかけた泡と一緒に溶け込んで無くなった。
 
 溶けて、消せればいいのに。
 
 
 
おわり
 
 
 
四四六、泡になりたい

8/5/2025, 1:27:58 PM