薇桜(引き継ぎ失敗しました💦)

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「先生。どうして先生は、先生になったの?」
「…急にどうしたの。」
私は作業の手を止めて、質問してきた生徒の方を向く。
「校長先生が、今朝の朝礼で言ってた。未来への鍵をつかもうって。」
「…そういうことを言う子だったっけな。まぁいいや。」
彼女の言う校長先生も、もともとは私の弟子だった。
「私が先生になった理由ね。コウチョウに頼まれて、面白そうだったから。」
「…それだけ?」
「うん。」
「…じゃあ、先生になる前は何だったの?」
「旅人。この街じゃあんまりいないけど。私は旅人で、いろいろな街を歩いてた。」
この街は教育がシステム化されていて、将来は働くことになる。
「え?じゃあお金は?」
「あるし、貯まるし。人助けとかすれば、もらえる。なければ野宿とか。」
悪いこともいくらかやってきた。言わないけど。
「野宿…。先生って、壮大な過去の持ち主…?」
「そんなんじゃないよ。話を戻すけど、『未来への鍵』ね。別になくていいんじゃない?あなたはどうしてこのクラスに?」
「この勉強が楽しくて、続けたかったから。」
私はふっと息を吐く。
「私と何が違うの。『未来への鍵』とか、そんなことは気にせず、やりたいことをやればいいよ。少なくとも、私の方針はそうで、私自身そうだから。」
「…わかった。やっぱり先生はすごいね。」
「どういうこと。」
「なんでもなーい。」
彼女は笑って、教室を出て行った。

1/11/2025, 8:16:24 AM