「ああ、もうだめだ…
もうだめだ…」
「どしたん?」
ダーニーが言いました。
「聞いてしまったんだ…
今までなんとか見つからずここでやり過ごしていたけれど…
今度大掃除をするんだって!」
「ああ…」
「もうだめだ!!」
わっ、とわたぼこりんが泣き出しました。
「そうなんだー。ぼくは見つけてほしいんだけどな。」
そばにいたキラキラのスーパーボールが言いました。
「ぼくは夏祭りのすぐ後からずっとここにいるんだよ。
夏祭りの時はぼくを手にとってよろこんでいたから、
ぼくを見つけてくれたらきっとよろこんでくれるんじゃないかなー。」
「それはどうかな。」
冷たい声がしました。
「お父さんかお母さんに見つかっちゃったら捨てられちゃうんじゃない?
きみを手にしてよろこんでたのはどうせこどもたちだろう?
でもこどもたちなんて掃除のじゃまはしても手伝いなんてしないだろう?
だからきみは捨てられるのさ!」
自暴自棄になったわたぼこりんの八つ当たりです。
「そ、そんな……!」
キラキラスーパーボールもわたぼこりんといっしょに泣きはじめました。
「やれやれ…」
「ダーニーはどうしてそんなに落ち着いてるの?」
「そうだなあ。
ぼくはどうせ寿命が短いし?
そーゆーのはどーでもいーかな。
まあ、ほら。
けっきょくだれにも見つからないって可能性もあるんだし。」
「そんなのいやだ!
ぼくは、見つかってほしい!」
スーパーボールが言って、また泣きました。
うわああああ。
部屋の隅ではわたぼこりんとスーパーボールの泣き声が。
やれやれ。と頭を掻きながら、大掃除になったらどこに行ったら見つかりにくいかな。と考えるダーニーなのでした。
「部屋の片隅で」
12/7/2024, 7:15:36 PM