蹴鞠

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絢爛。しかしどこか寂寥とした夜を彷徨うように帰路に着く。これが私が社会人になってからの毎日だ。初めて東京に来た時は夏で、地元と比べてこんなに暑いんだから冬はあったかいんだろうと思っていた。ここまでつんざくような寒さだとは初めは露にも思っていなかった。

ここは東京丸の内。新築のオフィスビル群が迫り出すように立ち並ぶ一等地一番街。寒空で輝きを放つシステマティックな星々をぼんやりと眺めると、自分はこの街を構成する一つの部品だと思えてくる。

そういえば親から私の近況をそれとなく聞き出したい気持ちが伝わるLINEが来ていたが、仕事に押し潰されて返信する気持ちにもなれず、既読だけつけてそのままにしていたのを思い出した。

「年末はどうか。帰るのか。」

地元か。これから年末年始くらいは帰ってみるか。
何せ私ももう58歳。星としての役目は終わりかけているからな。

【冬は一緒に】

12/18/2024, 1:52:08 PM