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目を瞑ると浮かぶのは、真紅に染まったあの光景。
どこにでもあるマンションの一室での出来事。

床に広がる紅と、手の中で鈍く光る銀。
ドクドクと心臓が早鐘を打ち、耳は小さな呻き声を敏感に拾う。

俺はもう戻れない。
向日葵の様な笑顔に覆われていた黒が露わになる。
このまま堕ちるところまで堕ちてしまおうか。

「ばいばい。」

俺の大好きだった人。
お前は、お前だけは明るい場所で生きてくれ。


(8 脳裏)

11/9/2023, 12:48:03 PM