今年も無事『秋風祭』が催された。
公園の広場には色とりどりの屋台が並んでいる。夏の祭りと違う点といえば、秋の味覚が並んでいるところだろう。
栗ご飯やスイートポテト、キノコの味噌汁などの屋台がある。
今年も多くの人で賑わっている。僕は公園の高台から祭りを見下ろして、楽しそうだなと思った。
僕は何をしているのかというと、好きな人を待っていた。この祭りにどうしても彼女と来たかったから、誘ったけれど来なかった。
失恋。
これもまた、秋らしいなと心の中で思った。
「帰るか……」
家路につこうとした時だった。
「遅くなってごめん!」
僕が待っていた彼女が、走ってやってきた。
「バイトが長引いちゃって……。待たせてごめん!」
もう秋が来たはずなのに、僕の心は夏のように熱かった。
お題:秋の訪れ
10/1/2025, 3:32:18 PM