たかなめんたい

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『現実逃避』

日々を過ごす中で、漠然と疲れが訪れて逃げ出したくなる時がある。
別に心が病んでいてとか、そう言う訳ではないと思う。ある意味、これを病むというのかもしれないが。
だけど、これはそんな大それたものではなくて、もっと生活に根ざした悩みに感じられる。

毎朝同じ時間にアラームを止め、顔を洗い、決まった手順で一日をこなしていく。そんな「当たり前」を維持するためのエネルギーが、知らず知らずのうちに底をつきかけているような感覚だ。

誰かにひどく傷つけられたとか、人生を揺るがすような悲劇が起きたわけではない。ただ、靴の裏に少しずつ張り付いた泥がいつの間にか足取りを重くするように、日々の些細な摩擦や義務感が、確実に心をすり減らしている。

だからこそ、いま私に必要な「現実逃避」は、鞄一つで遠い異国へ飛び出すようなドラマチックなものではなくていい。

いつもより一杯多くコーヒーを淹れてぼんやりする時間。あえて一駅手前で降りて歩く夜の道。あるいは、スマートフォンの画面を伏せて、ただ部屋の天井を眺めるだけの数十分。

それは現実から完全に目を背けるための逃走ではなく、明日もまた続く現実を生き抜くための、ほんのささやかな「避難」なのだ。そうやって一人きりの場所で静かに呼吸を整えることで、私はまた、この平凡で少しだけ息苦しい生活へと戻っていくことができる。

2/27/2026, 4:43:10 PM