彼女はどうやら悪に憧れてしまったらしい。
夏休みが終わり、憂鬱な始業式。
文学女子のテンプレとまで言われた同級生の女子が、金髪褐色のギャルへと変貌を遂げていた。
あまりの衝撃に憂鬱も眠気も吹き飛んだ。
一度見、二度見、三度見でようやく事態を飲み込んだオレは、教師陣に囲まれる彼女を眺めて顎をなでる。
はて。
彼女はどうしてしまったのだろう。
どうしたも何もああなってしまった以上、考えられるのは『憧れ』しかないのだが。
長期休暇の代名詞夏休み。それは人が変わるのに十分なきっかけであり、時間的な余裕だ。
おそらくはその間に悪に憧れ、悪になったのだろう。
文字にすれば簡単なことだった。
しかし問題は、彼女がギャルに大変身した一大要因が、もしかしなくともオレにあるということだった。
冷や汗をかきながら彼女に視線を送る。
少しして視線に気づいたらしい彼女は、一度見、二度見、三度見を経て目を丸くする。
教師の包囲を腕で薙ぎ払い、ツカツカと目の前に歩いてくると、彼女はガシッとオレの肩を掴んだ。
「その姿、どうしたんですか!」
「どうしたって、そりゃお互い様だろうよ。お前、一体どうしてそんなことになったんだ」
「そんなの、あなたに憧れたからに決まってるじゃないですか!」
外見に不相応な純粋な瞳。
お前に憧れて金髪褐色ギャルになったのだと、口よりも目が主張してくる。対して、黒髪色白ボーイになったオレは頭を抱える。
「オレはお前に憧れてこうなったんだぞ……」
4/9/2026, 2:51:31 PM