映乃 葵

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冷たい風が、急かすように私の背中を押す。
そんな急かさなくたって、すぐ行くよー。とひとりごち、一歩足を踏み出す。
下を見ると、そこには蟻のようにうじゃうじゃと歩く人々。
私は今、12階建てのビルの屋上にいる。自殺をするために。
こんな人生おさらばっ!とわざと明るく放ち、スキップをした。
着地点は無いのに。



どこまでも続く青い空が暗転し、闇色の空となった。

10/23/2023, 11:50:08 AM