もめん

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あの子の家は道路距離としては徒歩10分圏内だが、急な坂の上にある。
今朝家を出る一時間ほど前、あの子はひとりで昨日の夜の余韻にひたりながらわたしに洗い物を押しつけた。一辺50センチほどの洗い場につまれた小ぶりの白い食器は、他人のものとしか思えなかった。
あの子と声を発するだけの会話をしながら歩く坂道は明日もくるには長いなと思った。
たこ焼きが食べたい、とだけ言ったら、あの子は嬉しそうな顔をしていた。




˗ˏˋまた明日 ˎˊ˗

5/23/2024, 9:56:34 AM