打ちつけた尻を庇って立ち上がる
転んでないって顔をして
赤く腫れた心を扇いで冷ます
じくじくと染み出す感傷が痒くて
生まれた日のことを思い出すんだ
地図も薬も渡されず
世界へ放り出された無数の勇者
旅立ちを命じた王の顔すら忘れて
錆びた剣は塵芥に紛れて火の海へ
何物も守れず盾が泣いている
新たな亡者には目もくれず
成れの果てが蠢く月の夜に
怒る相手も分からずに
満たされた振りで欺いている
一体誰を討ち滅ぼせば良いのか
気づいた頃には凋落の後
冠を首からさげた骸骨はからからと嗤う
乾いた砂漠で溺れ死んだ
亡霊の波がつられて爆笑の渦
膿んだ心は搾り滓を吐いて瘡蓋になる
再び吊られる勇者に呪いという花を
怨嗟の産声に祝福を
粉になるまで立ち上がれと世界は唄う
(冒険)
7/10/2025, 1:50:59 PM