『何処までも続く青い空』
最期に君が告げたのは僕に対する呪いの言葉だった。
それは深く根強く縛りつける。
『幸せになってね』と君は僕に呪いをかけた。
これでは追う事も諦める事も出来はしない。
白いカーテンが暖かな風を中へと運び春の訪れを知らせてくる。それでも目を開けない君はまだ冬の中に閉じ篭っているのかな。
僕は小さくなった君を家まで運んで特等席に置いた。
君との思い出が詰まったこの家に。
今でも僕の名前を呼びながらハツラツと笑うその姿が鮮明に思い浮かぶ。
ねぇ、君は今どこに居るの?僕に教えてよ。
いつの間にか時間は過ぎていき子供達も大きくなった。
小さな枠内で笑う君に思い出話をしては一人でご飯を食べる毎日。
あぁ、寂しいなぁ。
今日は気分転換に散歩に来た。
どうやら僕はこれ以上永くは生きられないらしい。
発見が遅れてしまった病気は既に全身に周り後は緩やかな死を待つだけになってしまった。
子供達よ、そんなに泣かないで。僕は精一杯生きたんだから。それに、それでもいいと思った。
思い残す事は無いからね。
「……頑張ったよ、精一杯。寂しい日もあったけど、それでも負けずに頑張ったんだ。」
僕は病院の中庭のベンチの上で静かに目を閉じた。
ギュッと抱きしめられる感覚に僕は微笑む。
痛みも苦しみも消えた。
もう、寂しくも無い。
最期に見たのはどこまでも続く青い空だった。
10/23/2024, 2:42:38 PM