あの日、君がいなくなった。
僕の恋した可愛らしい君。何人もの男に言い寄られるほど美しく可憐な君。
街に出掛ければ必ず声をかけられる。
長く揺れる金髪に、頬に輝く星の様なそばかす。
ラプンツェルの様に美しい容姿と明るい性格。
そんな君はあの日、君に狂愛していた男に殺された。
自分だけのものにしたい。そう思って殺したらしい。
美しさとは、時に人を狂わせてしまうものという事をその時初めて知った。
話したことすらなかった。
その美しさに息を呑んで、遠くから見ているだけだった僕は君の死を哀しんでも良いのだろうか。
あぁ、僕には、何ができたんだろう。
1人の話した事もない人間が居なくなった。
それだけのはずなのに、この街は見知らぬ街へと変わっていた。
8/24/2025, 2:31:38 PM