[最後に会った君]は、82円切手が貼ってある封筒の中の便箋、その柔らかく可愛らしい文字になった。
気持ちの優しい君に、短気な私は相性が良くなかった。
(ということにした)
悪友として、ノリのまま、何年も面白いことを一緒にした。
そんな関係を続けたい私と、そうじゃなくなった君の間に、ある時分から薄暗い波紋が広がった。
君の、大胆で緻密で誠実な性質は、時折、妬ましさで私自身を傷つけた。
それを感じる時、私はまるで1円でも売りだせない登場人物みたいだった。
今、君がどうしているか、私は知ろうとしない。
単に邪魔にならないように、「傷つけてごめん」「素敵な人生を」と思うだけ。
1円になるかならないかの主人公は、如何ようにも変容して、面白いと思う物語を書き続けるだけだ。
6/26/2024, 11:57:00 AM