幾ら願望成就と言ったって。
叶えられるものには限りがある。
愛しいあの子との逢瀬を咎められ、
大河より隔たれた在りし日から幾星霜。
反省の至りと再会の日を楽しみに
御義父様より賜りし務めを果たす生が、
暇無きものとなったのは何時からか。
五穀豊穣を願われ、気紛れに手を差し伸べた。
手芸の上達を乞われ、手を貸した。
最初はそんな、些細なものだったというのに。
あの子との幸せを願ってくれた彼らに、
ほんの少しのお礼を贈っただけのことなのに。
年々増えゆく「短冊」を。
肥大する欲望の有様を。
憎らしく思ったのは何時だったろう。
あの子との逢瀬を喜べなくなったのは。
忙殺され疲労する鵲を慮り逢えなくなったのは。
星々の煌めく天の川、それに募るは願いの山。
全て叶えてやりたいのはやまやまだけれど。
少し、疲れてしまった。
だから、これは気の迷い。
叶わぬと知るものの織る言の葉。
でも、もし、赦されるのならば。
「なあ、愛しき我等が人の子よ」
「どうか吾の願いを今一度」
ーー聞き届けてはくれまいか。
7/7/2025, 10:57:54 AM