悠々

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私は、今旅行中だ。
満月が輝く、冷たい針のような風に吹かれる夜。
私は必要な物だけ持って家を出た。背負ったリュックは存外重かったが、慣れれば大丈夫そうだ。月は出ていても、暗く街灯も乏しい。田舎の夜中は静寂に包まれている。私の足音と吐息だけが静寂を破っていた。生活音も、私の父の怒る声も聞こえない。何処へ行こう?何処にだっていける気がする。
高校生は何だって出来ると言うが頷ける。
自由な私を止める事が出来るなら来てみろ。5分あれば、君も一緒に私の旅に同行しているだろうさ。
だが、私が本当に一緒に旅をしたいのは、残念ながら君ではない。
私の親友であり、今日彼氏に改めて成った人だ。何故改めてかと言うと、私が誤解をしていただけだ。彼は、もう付き合っているのと思っていたらしいが、私は親友の仲だと思っていた。だから、明日告白しようと思っていて、通話中に彼女が居るのか聞いたら、君が彼女なのでは?と聞き返されてしまった。恥ずかしい限りだ。そんなことはさておき、誘ったら、意外にも承諾し、一緒に旅をしようと行ってくれた。まずは、彼氏に会いに行こう。彼は、優しい。とにかくな。だからなのか、他者に流されやすい。この旅で、どう変わるのか正直分からない。だが、私達は明るい未来の方へ、黎明の方へ、変わっていけると思う。

彼氏の最寄り駅まで遠いから、取り敢えず電車で向かう。それまでには、彼氏も準備を整えている事だろう。電車に乗り込むと、1人から2人程度で少ない。もしかしたら、誰も乗っていない車両もあるのだと思う。ガタゴトと、田舎の線路はよく揺れる。お尻が痛い笑。窓を覗くと、街並みが見えた。黄色や白、赤もあって、輝いていた。早々と景色は流れていくが、それはそれで綺麗なんだ。絵画をじっくりゆっくり見るのも良いが、動画のように流れていくものにも感動する。

頭が冷静になっていく。半分家出状態だからかな。まあでも、気が向いたら帰ってくるよ。
そろそろ、彼氏が電車に乗り込む駅だ。彼氏もどっさりとした荷物を背負っていた。赤らめた顔を私に向け、寒いねと言って、隣に座った。

彼が

「どこに行くの?」

と聞くので、東京の街をまずは練り歩こうかなって、思っていると伝えると、初デートは東京の夜なんてドキドキすると嬉しそうに答えた。彼氏にして本当に良かった。きっと、彼じゃなかったら、私は誰が隣に居て欲しいか分からなかったから。
今夜は、東京のカプセルホテルにでも泊まって、明日は、海外にでも行こう。船で行こうと思っていて、つてもある。私の友好関係は案外おかしい。だけど、広げておいて損はないのが人脈だから、それで良いと思っている。
何処にだって行こう。どんな街にも行ける。どんな人にも会える。
行動し努力し、実現出来るまでやれば。
私達なら、きっと出来る。そう信じている。

注意 現実に行っているわけではないので、心配しないでください。大学生に成ったら行きます。

1/28/2024, 2:37:24 PM