大切な人を亡くした。私は胸が引き裂かれるような絶望に支配されているのに、世界はいつものように回っている。
あの人が亡くなって初めての朝。眩しく美しい朝だった。私はそれが悲しかった。
あの人が亡くなって2日目。早くもこぼれ落ちていく記憶の欠片を慌ててかき集めようと、もがく。あの人の面影がどんどん遠ざかっていく。それがどうしょうもなく寂しくて、悲しい。
あの人がいない日を一日一日重ねていく。記憶はどんどんぼやけていく。あの時どんな表情だったか、どんな声だったか、わからなくなっていく。
それでも、一つだけ確かに覚えていることがあった。それは、あの人が私を愛していてくれたこと。
私があの人を支えているのだと思っていた。でも、違った。あの人の存在に、その愛情に、私はずっと支えられていた。
今はまだ黒い絶望が私の胸を締め付けて苦しい。それでも、あの人の後を追いたいとは思わなかった。むしろ、あの人が生きられなかったその先を、私がしっかり生きなければ、と思った。
だから私は、今を生きる。絶望の中でも、どんなにもがき苦しんだとしても。あの人がいない世界で、私は生きていく。
【今を生きる】
7/20/2025, 2:01:43 PM