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「秋晴れ?天晴じゃなくて!?」
思わず叫ぶ。
「なんで、そんな聞き間違いするのよ。音は似てるけどさ」
彼女が呆れたように笑う。
「えー。じゃあ俺一人で勘違いして、一人で盛り上がってたのか」
恥ずかしさのあまり、顔が熱くなる。
「おかしいと思ったんだよね。話、噛み合わないし」
「その時に言ってくれ」
「初デートで舞い上がってると思って温かい目で見てた。なんせ相手が私だし、緊張してるんでしょ」
「してねえ。というか全部吹っ飛んだ」
「でしょうね」
と、彼女は笑う。
笑顔の彼女はとても可愛かった。
その顔に見惚れると、彼女がこっちを見た。
「顔になんか付いてる?」
「いや、可愛いなって思って」
「なっ」
今度は彼女が真っ赤だ。
「照れた?」
「あんたなんかにしないわよ」
彼女は声を荒げる。
「図星か」
「違う。これは天晴だな、と思っただけよ」
「は、何が?」
「空がよ。この秋晴れ、天晴でしょ」
二人で空を見上げる。
空は澄み切って、見事な秋晴れだった。
「確かにこれは天晴だな」
「そう、天晴な秋晴れ」
「ダジャレか。いやダジャレでもないか」
「うるさい。聞き間違えたくせに」
さっきのやり取りを思い出し、また顔が赤くなる。
「くそ卑怯だぞ、可愛いくせに」
「あー、またそういうこと言う」
彼女が赤くなるのが気配でわかる。
「一時休戦しよう」
「それがいい」
それで、お互い落ち着くまで空を見上げていた。
「うむ実に秋晴れだなあ」
「ああ、まことに天晴な秋晴れだ」
空は、どこまでも天晴な秋晴れだった。

10/18/2023, 9:44:24 PM