t「君の名前を呼んだ日」
初めて君の名前を呼んだ時はまだ言葉も分からなくて、ただただ自分を見ていた、気がした。
少し成長して君の名前を叫んだ時、君は笑顔で私のもとへ走ってきた。
体も顔つきも子どもになった君、名前を呼ぶより呼ばれる事が多かった、あれが楽しかったこれが悲しかった、今日はこんな事があった。君は随分おしゃべりになった。
怒るように引き止めるように君の名前を呼んで手を伸ばす。はたかれた手より君の冷たい対応のほうが痛かった。
反抗期が終わりまた君の名前を呼ぶ。君は立派なスーツに袖を通して振り返る。行ってきます。成長した姿に寂しさを覚えつつも立派になった君に涙が流れる。行ってらっしゃい。
最後に君の名前を呼んだ日。隣で涙を流してなんども呼んでくれる。ありがとう、貴方の親で幸せだったよ。何度も呼んでくれて、たくさん名前を呼ばせてくれてありがとう。
5/26/2025, 9:22:01 PM