とある恋人たちの日常。

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 俺はとてもドキドキしている。
 それというのも、初めて恋人の家に居るからです。
 
 彼女はキッチンで準備してくれているんだけれど、めっちゃいい匂いー!
 これ絶対にハンバーグだよね?
 俺の好きな食べ物だって言ったことあるから、絶対そう!
 
 仕事もハードだったし、この匂いはたまんないー。
 匂いに空腹感が刺激されまくって、お腹がついに鳴りだした。
 
「お待たせしましたー!」
 
 そう言われて出てきたのは、やっぱりハンバーグ。しかもプレートになっていて付け合せも俺好み。
 形はちょっといびつだけど、本当に美味しそうでのとがごくりと鳴ってしまう。
 
「食べていい?」
「温かいうちに食べてください」
 
 彼女は正面に座って、ニコニコ笑っている。
 これは、感想を待っているな……。
 
 ほんの少し緊張するけど、ナイフとフォークを取ってハンバーグを口に運ぶ。
 噛むたびに溢れる肉汁もそうなんだけど、何か違う。ファミレスのハンバーグと違って肉々しい。
 これは味って言うより食感かな?
 ほんの少しコゲもあるんだけど、これも美味しい。
 
「凄く美味しい!!」
 
 俺がそれを告げると彼女は弾ける笑顔になった。
 
「良かったぁ!!」
 
 嬉しそうに微笑む彼女だけれど、どこか安心した表情するから、彼女も不安だったんだと思った。
 
「これ、普通のハンバーグと違う?」
 
 そう聞きながらまたハンバーグを食べていると、照れたように答えた。
 
「ちょっとだけですよ」
 
 照れたように笑う彼女を見て胸が熱くなった。
 
 ああ、これは。
 かなり工夫と練習したんだな。
 
 手先が器用かと言われたら彼女はかなり不器用なタイプだ。それでも、これだけ美味しいハンバーグを作ってくれた。
 
 俺が好きなものを。
 
 初めて俺のためだけに作ってくれた手作りのご飯。
 これって〝小さい愛〟でおさまる?
 
 
 
おわり
 
 
 
五三一、tiny love
 
 
 

10/29/2025, 1:18:25 PM