John Doe(短編小説)

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無慈悲な夜の女王


僕は映画が好き
暗い映画も派手なアクション映画も。
君は文学が好き
ヴェルヌにヘッセ、そしてハインライン。

君の可愛らしい白い手に接吻したい
君のいとおしい瞳に吸い込まれたい
僕らは似ても似つかないヒトだけど
僕は心から君を愛してるんだ

だから行かないで
だから消えないで
だから置いて行かないで

君のために僕も本を読もう
君は無理して映画を観なくてもいいから
いいんだ、僕は君の「好き」に触れたいだけ
届きそうなんだ、あとほんの少しで
笑顔じゃない君なんて見たくないよ

だから行かないで
だから消えないで
だから突然居なくなったりしないで

お願いだよ
お願いだ
僕の人生に君は必要なんだ

なんて美しいんだろう
この無慈悲な夜の女王は
そしてなんて悲しいんだろう
君の居ない月明かりに照らされた街は
僕は本当の君が戻ってくることを信じてる

だから、それまで僕も本をたくさん読むよ
もう一度、君の小さな白い手に触れさせてくれ

3/7/2024, 1:00:25 PM