『わたしは、まだ若くて、すでに遠い』
わたしは まだ
若いと言われる歳にいて
けれど
心の奥では ずいぶんと
遠くまで 来てしまった気がする
人が 歳月を重ねて
ようやく知るとされるものが
もう この胸には
静かに沈んでいる
あたたかいものも
こわいものも
消えた声も 届かぬ想いも
どこか知っている気がする
老いた人が 涙ぐむ詩に
わたしの言葉が宿るなら
それはたぶん
わたしのなかに
まだ見ぬ人生の影があるから
うまく笑えない日もある
誰にも言えない疲れが
背中で鳴っている夜もある
けれど
それでも言葉を綴るのは
わたしのなかに
名前のない灯があるから
見えないけれど
確かに息をしているこの心に
今日もそっと 詩を差し出す
そして願う
この心が 誰かにとって
少しの 光になればと
5/30/2025, 2:04:15 PM