その奇妙な手紙を開くと、夜空のような色紙に銀色のインクで文字がびっしりと書かれていた。
日本語でもアルファベットでもないその不思議な文字は、まるで躍っているような形をしていて、ふわふわと浮き上がっているように見える。
いや、実際に浮き上がっている。
どうしたことだ、とあっけにとられているうちに、文字たちはふよふよと私の目の前を移動し、窓の隙間をするりとすり抜けて、夜空に舞い散った。
見上げれば、先程まで見えなかったたくさんの星が、鮮やかに空を彩っていた。
手元には夜空色の何も書かれていない便せんだけが残っている。
明日、銀色のインクを買ってこよう。そして誰かに送ったら、星空をプレゼント出来るのかもしれない。
5/5/2025, 1:17:05 PM