月風穂

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【時計の針】

“クロノスタシスって知ってる?
知らないと君が言う。
時計の針が止まって見える現象のことだよ。”

きのこ帝国の『クロノスタシス』という曲の歌詞である。
私はこの曲とバンドを大学の時に知った。
今は活動休止中だが、おそらく復活することはないのではないかと察する。
所謂サブカル好きが食いつくようなバンドでもあろう。
『花束みたいな恋をした』でもこの楽曲が使用され、サブカルの一部として消費されていた。

私が知った頃にはバンドは活動休止となっており、もちろんライブなどには行ったことはない。
私のなかで知らぬ間に時計の針が止まっているバンドであり、再び動き出す瞬間を見ることができないかもしれないバンドでもある。
私はちゃんと楽曲を聞き、いいなと思ったから聞いている。
ファッションで聞いている人間とは違うということを記しておきたい。


このように、待っていても時計の針が動かないことはある。逆もまた然りである。
クロノスタシスのように止まって見えるわけではなく、止まっているのだ。
私が止めたい時間は止まらず、動かしたい時間は動かない。
嫌なことが翌日に控えているときなどは顕著である。
「あぁ~とっとと嫌なことが終わった後の時間に行かせてくれ。」
と言えど誰も助けてはくれない。私の力で何とかせねばならぬ。
こうして嫌な思いを持ちながら越す夜を、永遠に閉じ込めておきたいがそうはいかない。
太陽はそ知らぬ顔をして、私を出迎える。

明日は決戦である。
何とかなるだろうの気持ちで何とかするのだ。
…誰か代わってくれ。

2/6/2024, 12:45:40 PM