空は寒色から暗色になる。空がレイヤーであること、一枚のポリゴンではないことに新鮮な驚きを覚える。
空はなんの役割も持たない。私達が利用するのは太陽や雨雲だけで、空は利用しない。空は空間。色づいているので、物らしく見えるだけだ。あるいは幼少期のお絵かきの中で作られた偏見のせいだろうか、空間に色はないのに、水色で塗らなければいけなかったから。私達は空に触れることが無い。空はあるが、存在しない。
多くの憧れは、そのようなものだ。名前のつけられたある地点を目指すと、その地点は無い。確かに自分はその名前の位置にいるのに、何も掴めた気がしない。床に雲が敷かれて初めて自分が空にいることを知る。しかし空は依然として頭上にある。より暗く、より境界は曖昧になっていく。どこまでが空なのだろう。誰かが「そこが空だ」と言えば、おそらくそうなる。
なら、私達は空にいる。
8/20/2024, 9:32:19 AM