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あなたがいたからの続き

日常

シズクが居ない日常が 一ヶ月
二ヶ月 三ヶ月と続いた。
日常なんて 違和感があるのは最初だけで
徐々に慣れるのが普通だ。

だからこれは俺のメンタルの問題で
俺が未練がましく振り切れ無いのが
問題でシズク自身には何も関係なくて....

仕事が終わって帰っても バインダー局の中にあいつの姿は無い
いつもなら....

『皆.... おかえり.... 怪我...して...ない
大....丈夫....』そんな心配そうな声音で
聞いてくるシズクの声が聞こえて
皆の姿を見つけて安心した様なシズクの
笑顔が映って.... 「っ・・・」そこまで
考えてハイネは首を振る。

(駄目だ....俺 何やってんだ シズクに
執着し過ぎだろう....) あいつには
あいつの想いや事情があるんだから 
俺にばっかりシズクの想いを縛りつけるのは間違ってるって分かってるのに....

あいつは常に皆の事を考えてて
その皆の中にちゃんと俺も入ってる
それは....分かってるのに....

それなのに俺は いつだって俺を
一番に考えてくれないかなぁなんて
醜い事を思ってしまう....

ハイネがそんな事を自宅で悶々と考えてると.... 途端に ピンポーンと家の玄関
チャイムが鳴った。
ハイネは立ち上がり急いで玄関のドアを
開けた。もしかしてと期待に胸膨らませる
自分を押し隠して....

すると....「あら はー君どうしたの?
そんなに急いでドアを開けて そんなに
私達に会いたかった!」にっこりと可愛らしく微笑むリンネと無言で佇むハイルの
姿があった。

ハイネは、二人に自分の姿を見られて
恥ずかしくなり「別に....」とぶっきらぼうに答えてしまう。


そして二人を自宅に上げるハイネ
「で....何の用だよ....」と横を向いて
二人に問いかけるハイネ

「あら用が無いと可愛い息子に会いにきちゃ行けないのかしら?」リンネは可愛いらしく小首を傾げて言う。
リンネのそんな言葉にハイネは舌打ちを
鳴らして 「もうガキじゃねぇんだし
一々用も無いのに来るなよ!お袋 親父」

そんなハイネのつれない態度にもリンネと
ハイルはいつもの事の様に嫌な顔一つせず
返す。
「あら 親にとって子供はいつまでも
可愛い者よ! それこそ命を投げ出しても
構わない位にね」そんなリンネの言葉に
無口のハイルも「そうだぞハイネ」と
同意する。

そんないつまでも自分を溺愛する二人に
ハイネはありがたい様な迷惑な様な複雑な
感情を抱き「うぜぇ....」と返す。

「あらはー君も溺愛してる子が居るなら
私達の気持ちも分かるでしょ?」そんな
リンネの悪戯っぽい返しにハイネは
「なっ....」とたじろぎ....
「べっ....別に....溺愛してる奴なんて...
いねェ....」とハイネは膝を抱えて自分の
顔を自分の膝に埋める。

リンネはそんな息子の態度を深く追求せず
「そう....でも もしそんな子が出来たら
はー君 絶対離しちゃ駄目よ
もし離してしまっても取り戻す位の気概を
見せなさい」とリンネは息子に向かって
力強く言う。それに続く様にハイルも
「ハイネ頑張れよ」と声を掛ける。

「っ....」ハイネは二人の言葉に何も言えなくなる。
どうして親って言うのは何も話して
無いのに見ていた様に的確に言葉を向けるんだ。

そうしてリンネとハイルは帰って行った。

二人を見送るとハイネは何かを決意した
様に立ち上がる。

そして相棒の鎌を手の中に出現させると
自宅の玄関ドアを開けて
外に飛び出した。

そうしてハイネは足取りを力強くさせ
バインダー局に向かうのだった。

6/23/2024, 4:48:35 AM