桜の葉が赤色に色づき始める頃、桜と同じように真っ赤に色づく植物がある。近所の家の入口の庇に垂れ下がるようにして、粒の小さな赤い実がたわわに実る。その植物の名は知らない。しかし、一つはっきりと言えるのは、美味しい木の実だということだ。ひっきりなしにスズメやヒヨドリといった小鳥たちがやって来て、一ヶ月もすると赤い実は見事に禿げ上がり、寒々しい枝だけが残される。
少し季節が進んで冬になると、最寄りの駅の駅前に生えている木にも小さな赤い実がみのる。この木には名を示す看板があり、それにはクロガネモチと書かれている。見た目は同じような赤い実だが、不思議とクロガネモチの木には鳥がやって来ない。割と何でも食べる、と個人的に思っているヒヨドリすら、大してやって来ない。ヒヨドリすら避けるとは、これはもう相当苦いか酸っぱいかするのだろう。
いつまでも生っている赤い実は、どこか寂しそうであった。
11/22/2025, 12:53:07 PM