胸が高鳴る。
青い瞳の来客編7
午前1時30分。
僕は前半の仕事を終えて、バックヤ−ドにある脚立を担いだ。
そして、ホテルを出て外灯がある屋根の下に来た。
その場所はお客様の車が駐車してあるので狭い。
車に当てないように脚立を慎重に動かした。
それを屋根から見ていたトルコ猫は隠れた。
脚立を開脚して塀と壁に当てた。
脚立の高さは145cm、開脚すると290cmになる。
それでもトルコ猫がいる屋根には届かない。
僕は意を決して脚立を昇る。
誰にも目撃されないようにしないと…。
緊張で胸が高鳴る。
やがて脚立の最上段に昇りきった。
これでようやく僕の顔が屋根に届いた。
想像よりも屋根は高い。
屋根は二等辺三角形になっており、トルコ猫はその裏側に身を隠し、顔を出して覗いている。
「おい!助けに来たぞ!早く来いよ!」
僕はスマホの猫翻訳アプリを使用した。
しかし、トルコ猫は反応しない。
「どうした?屋根から降りたいだろ?おいで!」
僕は優しく言った。
「俺は人を信用したけど、捕獲器で捕まってゴ−ルデンボ−ルを取られた。騙されるのはもうゴメンだ。だから行かない」
トルコ猫は言った。
「何を言ってるんだ!今は状況が違うだろう!いいか、君らは1回の交尾でメス猫が妊娠する確率が高い。それで3〜5匹の子猫が生まれる。更に母猫は半年後に交尾すれば妊娠して出産する。ほっとけばとんでもない数の子猫が増える。それが現実だ。お前は自分の子猫をすべて育てる事は出来るのか?」
「……出来ない」
「そうだろ?だから人間が不幸な子猫を増やさないように野良猫に不妊治療の活動してるんだよ。過去は忘れろ!それに今回は君が僕に助けを求めた訳だよね」
「はい」
「だから僕は君の希望通り助けに来た。君がここに来てくれたら屋根から降ろしてあげるよ。そうすれば、君は自由になれる!僕はちょっとした英雄になれる!この家の主やホテル関係者に迷惑をかけないで済む!君がここに来て、僕に身を任せれば全員がハッピ−になれるだよ!何も恐れる事はない、僕の胸に飛び込んで来いよ!」
「…………」
トルコ猫の決断は…?
次回に続く。
3/25/2026, 5:07:57 AM