さあ行こう。
まだ見ぬ景色を求めて。
笑っちゃうほど遅い船に乗って
行き当たりばったりで進んでいく。
最初はただ
あんまり行ったことのない
港町の店に顔を出してみただけ。
すごく綺麗な人がいたから
私は思わず話しかけて
ここじゃないどこかへ行きたいと話した。
するとその人から
海上タクシーみたいな船を説明され
乗りなよ、咎めないよ。と言われ
乗ることに。
最低限の生活品だけ持って
冒険者のように
大股で自信たっぷりに歩く。
綺麗な人は他にもたくさんの人を
船に乗せていて
ホントにタクシーみたいだった。
私は人見知りだから
話しかけれなかったけど
少しの期間共に過ごしているようで
よく笑い声や話し声が聞こえた。
港が見えたら
とりあえず止まって休憩って感じの
ゆるーい旅で
私にはちょうど良かった。
寧ろやみくもに歩き回るより
こっちの方が良かった。
寝付きが悪くて外へ出てみた午前2時。
海は相変わらず
ザブーンという音が漂っていて
月の光を反射していた。
綺麗な人は午後8時〜午前1時までしか
寝ないらしく、
操縦室には綺麗な人が立っていた。
少し世間話をし、
そろそろ眠くなってきた頃
港が見えてきて船が止まった。
こんな真夜中にも着くことがあるんだ、と
少し驚いた。
私と綺麗な人は1度船から降りて
ベンチに座りながら
船と海を眺めた。
綺麗な人に
どのくらい旅をするのかを聞いてみた。
すると
いつか
どこかの港を一番好きになるかもしれない、
そんないつかが来るまで
旅を続ける。と、
どこか遠くを見つめながら言った。
"Good Midnight!"
朝目が覚めると
船の中で
午前10時の太陽に照らされる
綺麗な人が操縦室に見えた。
6/6/2025, 5:13:23 PM