霧夜

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手が冷たい時は、貴方のその温もりで

私の事を、暖めてよ。

...そんな夢物語を妄想しながら、夜道を歩く

人肌では無い、防寒具の温もりに包まれながら。

---二作目---

「お前、俺の前だと何時も白手袋してるよな...なんでだ?」

その問い掛けに、

「ん〜?何となくだよ、何となく」

と俺は答えて、そっと頭を撫でた。

...白手袋には、"相手を汚したくない"と言う意味があるらしい。
意味は最近知っただけで、物心ついた頃から着けていたけれど。
...俺の汚い手で、綺麗な藍登を汚したくはないから。
それに、汚い面を見せて、あいつに嫌われたくないから。

だからこれからも、俺はこの手袋をつけ続けるし、
これからもあいつには、俺の綺麗な面しか見せないだろう。

...でも、いつか、この手袋を外して...本当の自分を見せていいと思えるようになったのなら
それで、そんな俺を、藍登が認めてくれたのなら...
その時は改めて、頭を撫でたい。

そんな幻想に夢見て、俺は今日も綺麗な白い手袋越しにあいつを撫でる。



#手ぶくろ
162作目

12/27/2023, 11:13:59 AM