西の護符屋

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 おばあちゃんに今一番欲しいものをきかれて、僕は返答に詰まった。
 本当は、僕だけの味方が欲しい。僕に忠実な賢い犬、とか。飼うための土地付きの家、とか。
 でも、流石の僕でもそんなことをおばあちゃんに言って困らせられない。かと言って「僕が欲しいのはおばあちゃんの笑顔だよ。」なんて恥ずかしくて言えない。
 ゲームやトレカの最新弾も欲しいっちゃ欲しいけれど、それらをおばあちゃんに買ってもらうのは大変だろう。今やゲームはほとんどダウンロードだし、トレカも種類があるしすぐに売り切れる。
 悩む僕に一瞬寂しそうな顔をして「じゃあこれで好きなものを」とお金を用意しかけたおばあちゃんを、慌てて止める。

「パフェ!駅前のお菓子屋さんのでっかいパフェ!おばあちゃん、一緒に連れて行ってよ!」

 僕、我ながらふぁいんぷれいした孫ではなかろうか。目の端で小さく親指を立てたママを捉えながら、僕はふんすと笑顔で息を吐いた。


 少しして小さなハムスターを買ってもらった僕が、掃除を怠って、ママに「あんただけはハムすけの味方でないとダメでしょ!」と怒られるのは、また、別の話。

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 私が欲しいものね。自分と大切な人達の心身の健康と自分を俯瞰して動かすコントローラーかな。

 さ、今日もできれば楽しく、私を動かそう。

7/21/2024, 10:22:43 PM