夢見てる

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ススキ
夏の暑さが残る9月下旬。家の前にある河原のススキが揺れるのをぼうっと眺めていると、揺れるススキの中に懐かしい彼が居た。急いで外に出て彼の名を呼ぶ「msmさん!」彼が振りかえって私に手を振る、足が濡れるのを厭わずに真っ直ぐに伸びるススキを折るように掻き分け突き進む。
貴方から手紙が返ってこなくなったのはもう何十年も前の事ね、私あなたのために色んな縁談を断って、お父様に沢山叱られたわ。そんな考えを浮かべていると、足がもつれて池に転びそうになる。そっと彼が私を支え私の名前を呼んで微笑む。「相も変わらずそそっかしいね君は」あぁ優しい声で、私を愛しそうに目を細めて見る懐かしい貴方。
「何年も想い続けて居ました」涙をぼろぼろとこぼし逞しい腕のあなたに包まれあなたの胸の中で泣く。
「うん、もうこんなにおばあちゃんになっちゃったね」そうよ私あなたの事をうんと待ってたもの。「今度こそは一緒に行こうね」そのためにお迎えに来たんだよと彼は悪戯げに笑う。「さぁ行こう」そう言って差し伸べる彼の手を私は強く握って笑う。
「今度こそはきちんと式をあげよう僕と君との」

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補足
ススキが折れるように▶️ススキの花言葉は「生命力」「活力」そんなススキを折ってるから何となく死をイメージしたけど伝わらない気がする。そんなススキを折るように進んでる時点で進んでる彼女は死んでる
一緒に行こう▶️生前は式を挙げる前に戦場に駆り出されたので、あの世で式をあげるため彼女が天寿を全うするまでずっと待ってた(早めに命を終わらせることは出来たが愛しい彼女なのでそんなことは出来なかった)

11/10/2021, 11:29:52 AM