夢見てる

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愛情

大学で一目惚れした子。花のような笑顔を咲かせ、鈴のような心地の良い声を出す、無口な俺にも愛想良く接してくるあいつに惹かれるはずはなかった。
俺から毎日挨拶をし講義も近くに座るようにするとあいつから声をかけてくれるようになった。困っている時は手を差し伸べ、あいつの元彼について泣かれた時は怒りでどうにかなりそうだった。ゆっくりと時間を費やし他愛もないことで話したり、あいつの愚痴を聞いたりすると簡単に俺に懐いた。

食堂にいる時あいつから「隣に座ってもいい?」と恥ずかしそうにはにかみながら言われた時は思わず心の中でガッツポーズを取ってしまった。
ある日いつものように食堂で隣に座り飯を食っていると、「バイトが一緒だった時は驚いた」と言われた。あの時は肝が冷え、俺の計画にあいつが気づいたかと焦ったが、「運命みたいだね」と笑いながら言うあいつを見てそっと安堵した。
言葉巧みに自分が働いているバイト先にあいつを誘いバイト先で顔を合わせた時の高揚感はたまらなかった。あの時は必死に口角を抑えるのが大変だったなぁと思いながら、俺の手を握り楽しそうに話をしている可愛い 彼女 の顔を見る。
俺の努力が身を結びやっとあいつと彼女になることが出来た、彼女の声をほくそ笑みながら聞いているとこちらを向いた彼女と目が合う、「そんなに見ないで」恥ずかしそうに小さく笑う彼女が愛しい。
彼女の目からは俺が自分のことを愛しそうに見ていると写っているんだろう。いいさこの醜い愛情には気づかせることは無いからな

nm

11/27/2021, 12:48:55 PM