震える体を暖めるように、腕を伸ばした。小さな背を包み込む。とくとくと聞こえる鼓動に柔らかな熱を感じ、笑みが浮かぶ。
まるで踊っているようだ。とくとく、とくとくと規則正しいその音を聞きながら、楽しげにステップを踏む姿を思い浮かべる。ふふ、と思わず漏れた声に、腕の中の温もりが小さく身じろいだ。
腕を伝う手の冷たさに、肩が跳ねる。腕から手首を辿り、そのまま手を繋がれた。
「冷たい」
囁きが、空気に溶けていく。手を包まれ、軽く擦られる。
「冷たいね」
「そっちこそ、冷たいよ」
冷たいけれど、暖かい。凍える指先が触れ合えば、そこから熱がじわりと広がっていく。
愛しいその熱に目を細め、ほぅと吐息を溢した。
「帰ろうか」
「もう少し、遊ぼうよ」
くすくすと、笑う声。甘えるその響きに、仕方がないと同じように微笑んだ。
12/10/2025, 3:57:38 AM