未知亜

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ㅤ日の翳る無人駅の改札で、君の姿が影絵に溶け込んでいく。大した言葉も返せずに「じゃあね」と僕は呟いた。近づく列車を見たままで。

ㅤただ一度手を振ったきり、あなたはふり返らなかった。いつでも触れられる距離にいた背中が、ドア越しではあまりに遠くて。

ㅤまっててほしい、と——

ㅤまってるからね、と——


言えたら良かった、嘘になっても。



『まって』

5/19/2025, 9:56:11 AM