俺は生まれつき色がわからない。モノクロ映画のように世界が見えている、らしい。黒と白と言われても俺に見えている黒と白が正しいのかもわからないのだから、本当にその例えが合ってるかはわからない。
彼女は生まれつき色が違うらしく、日傘やサングラスや日焼け止めなど、普通の人よりいろいろ注意が必要だと言っていた。見た目が違うから、何かと面倒事に巻き込まれることも多いのだとも。
出会ったのは学生の頃。「気持ち悪いでしょ」と自虐気味に笑った彼女に、「色がわからないから、皆と変わらない」と答えたらひどく嬉しそうに笑っていたのを覚えてる。今でもそれが嘘だったとは言えていない。
俺、濃淡はわかるから、君が周りと比べて真っ白なのはわかってたんだ。髪も肌も白くて、どこにいてもすぐわかった。
君が少しでも普通の感覚が味わえるなら、それで良いと思った。今でも思ってる。でも嘘をついているのはごめん。
色の無い俺の世界で、鮮やかに微笑んでいる君へ。いつか本当のことを言えるようになるまでは、いつも通り俺に色を教えてほしい。
4/18/2023, 1:50:44 PM