#4
『柚子の香り』※結末はご想像にお任せ致します。
かち、かち、と時計が時間を刻む音が静かなリビングに1人鳴っている。
暖かなホットコーヒーを手に添えながら、ぼぉーっと
渦を巻くコーヒーを眺めた
ふいにガチャリ、と玄関から音がした。
夫が帰ってきたのだろう
「お帰りなさい、あなた」
「おう、ただいま」
いつもと変わらないやり取り。
夫は真っ黒で草臥れたスーツを椅子に掛けて、そそくさと飯は食ってきた、風呂に入る。とだけ言って二階へ行ってしまった
ふと、隣を通って行った夫の匂いに気づいた。
「柚子の、香り?」
なにかしら、会社で柚子なんて使わないでしょうに.....
適当に掛けていたせいか、
とさっ。と椅子から夫のスーツが落ちた
「やだもう、汚れちゃうわ。」
すぐに拾い上げ、手にスーツを取った
ふわっと香る、柚子のにおい
あの柚子の香りの正体は、
「......そういうこと、」
ふと、私の目に銀に輝く刃が映った。
12/22/2023, 12:29:43 PM