水晶

Open App

『無垢』

夕方、山の仕事をしている親戚のおじさんが、親から離れて山の中をウロウロしていた子うさぎを抱えて家にやって来た。私は小さくて可愛いその子にうさこと名付け、お世話することに。それからうさこはもりもり食べてどんどん大きくなっていった。

ある日学校から帰ると、柿の木に毛の生えた棒のような物がぶら下がっていた。あれは何かと尋ねても祖父も祖母も何も答えない。何か分からぬまま夕飯になり、皆で肉と野菜の煮込み鍋を食べた。

どうしたことか、うさこが居なくなっていた。もしかしたら私が柵の鍵を閉め忘れたのかもしれない‥。泣きじゃくる私を祖母が慰める傍らで祖父が電話をしている。「また居たら頼むわ」
泣く私を可哀想に思って、親戚のおじさんに電話してくれるおじいちゃんはなんて優しいんだろう。

6/1/2024, 6:39:12 AM