そらいろ

Open App

「私の事は雨だったって思って。そうしたら良い思い出も全部流れて消えるでしょ?」

 いつだって災難を呼ぶ彼女は、そう言ってパタリと連絡をしなくなった。そんな別れ方をしたから、むしろ雨が降るたび彼女を思い出してしまう。

 雨の香り、涙の跡、彼女のまつ毛、僕のつま先。その全てがひとつも忘れられずに重なってゆく。ひとつも流れずに消えずに、僕の心をチクチクと刺激する。

 雨が降る。君のことを考える。君は僕を忘れてゆく。

/雨の香り、涙の跡

6/20/2025, 8:33:21 AM