その花は、ガラスで出来ていた。 その花は、時が経つに連れて、ひびだらけになった。 その花は、ある日、粉々にされた。「美しくないね」と、彼は自嘲する。 もう綺麗じゃない。もう誰にも見られたくない。 でも、それを見付けた人は言った。「まだ燃えてる」「直せる」「俺が手伝う」と。 かつて美しい花だった粉を、炉に入れて、もう一度咲かせよう。 そう思えた彼は、幸せ者だ。
6/25/2023, 10:08:54 AM